匠とは「相談を受けた時に真摯に対応し信頼をいただける人」

ビルマネジメント事業部 百貨店業務部 施設管理一課 / 保安業務

斉藤 英人

職 場

JR東日本・京王電鉄・東京メトロ・東急電鉄が乗り入れる渋谷駅。東急東横店は1934年、関東発の私鉄直営ターミナル百貨店「東横百貨店」として開業した。
その後、渋谷再開発事業の進行により、2020年9月13日多くの人に惜しまれながら全館の営業を終了し、85年の歴史に幕を閉じた。

プロフィール

1985年東急百貨店に入社後、本店文房具売り場に配属。その後、日本橋店、東横店と異動され、2000年から20年間、現在の保安業務に従事されている。主な業務は、毎月第3月曜日に行う消防訓練の総合統括、その他廃棄物管理、清掃手配、殺虫殺鼠の手配とお店への報告など、多岐に渡る。特に消防訓練では、実際に体を動かしてもらうようアイディアを出し、『体験する訓練』を実践している。例えば水消火器を使用し操作を体験する初期消火訓練や、AEDを用いた救命講習、事前告知しないで「爆発物」と書いたダンボールを置いて不審物検索を行わせる爆破予告対応訓練。火災の発生場所を事前に決めない(わからない)「ブラインド訓練」など、店舗の方々が消防訓練に対して、いかに興味を持ってもらえるかを第一に考え日々工夫されている。今年の2月17日に行われた防災訓練では、企画・立案・統括のすべてを担当され、見事にとりまとめられた。渋谷マークシティや渋谷ヒカリエなどの消防訓練に参加し、ノウハウの共有や情報交換など、日々の努力も欠かさない。そのおかげで大きな事故もなく、無事に東急東横店の業務を終えることができた。

Episode

 今までも様々な経験をされてきた斉藤さんだが「今が一番苦労しています」と話す。渋谷の再開発に伴い東横店は2013年の東館営業終了を皮切りに、今年の3月に上層階営業終了、そして9月13日をもって全館営業終了となった。「東館閉館の際は夜中にトラックを約15台程停め、フロアごとに什器備品を順次出して廃棄物業者のトラックに乗せて…の作業を繰り返し行っていました。今年は駅周辺が再開発工事中のため、トラックを一気に停めることはできず、4月からの半年間ほぼ一日おきにトラックを手配して少しずつ什器備品の廃棄を行いました。建物の営業を終了するということは本当に大変だと痛感しましたが、とても良い経験、自信に繋がりました」と話す顔は達成感に満ちていた。また、「一昨年の渋谷消防署が主催する自衛消防訓練審査会女子の部で、東急東横店の自衛消防隊が優勝したことが今までで一番嬉しかったです」と教え子たちの健闘を称えた。審査会には男子隊、女子隊、警備隊の部があり、渋谷区内の約50の事業所が参加する。東急東横店では、毎年新入社員が数か月間、ホースや消火器を持っての猛練習を重ね、審査会に挑む。なかなか結果が報われない、かなり難しい賞と言える。「優勝のご褒美に翌年の東京消防庁出初式のパレードにも招かれ、とても貴重な経験をすることができました。30年目にしてやっとトロフィーに社名を刻むことができ、感慨もひとしおです」と笑顔で語ってくれた。
 毎月行う消防訓練では、いくら細心の注意を払っていても失敗は起こってしまう。繰り返し繰り返し行い、失敗は次に活かす。継続することが何より大切だということを斉藤さんは熱く語ってくれた。東横店で培われた防災訓練のノウハウや経験を今後の業務に活かしていく。

業務の様子

85年の歴史が詰まった東急東横店で最後の防災訓練の様子

優勝の表彰状

(2020年11月25日時点)