匠とは「建物を細部まで把握しながら大きな視点でチームを運営できる人」

セルリアンタワー / 館内清掃責任者

山下 哲生

職 場

国内でも有数の文化・ファッションの情報発信基地であり訪日外国人観光地としても有名な渋谷。その躍然たる場所と一線を画す柔和な空間に座する「セルリアンタワー」。山下氏はここですべてのフロアの共用部分を管理する館内清掃責任者(社員・スタッフ併せて19名と協力業者スタッフ20名を統括)として活躍している。

プロフィール

学校を卒業後、アパレル会社(国内大手ジーンズメーカー)に入社し、営業職として10年間勤務した。その後、兄弟の誘いから建設業を2年間行い、その中で、次第に建築した建物を綺麗に保つビル管理の仕事に興味を持ち、ビル管理会社に転職。10年間勤務し、清掃員から清掃責任者までを経験した。そして、2006年2月東急ファシリティサービスに入社し、セルリアンタワーの館内清掃責任者として現在まで約10年勤務している。

Episode.1把握する

お客様の安全安心の為に

山下氏が働く「セルリアンタワー」は、2001年に建設され、地上41階地下6階建の渋谷では最高層建物でオフィス・レストラン・ホテルが入る大型複合施設である。1日の来訪人数は約4,000人で国内外のエグゼクティブや旅行者など様々な方が利用する施設であり、清掃の品質や衛生面への意識が高い。館内は昼夜を問わず多くの人が出入りするため、常に綺麗な状態を維持するのは難易度が高く、高度な清掃技術とチームワークにより成り立っている。
この清掃チームの責任者である山下氏は、業務上大切にしている事が2つある。
1つめは「床や壁の材質や利用者の導線など、建物を細部まで把握すること」、2つめは「清掃スタッフの動きを把握すること」である。山下氏は「この2つを把握することで臨機応変に清掃することが可能になり、常に綺麗な状態を維持することができる」と語る。
さらにもう一つ、山下氏が注力している作業は吐しゃ物対応である。
館内で吐しゃ物が発生した場合、通常は清掃スタッフが迅速に処理を行っているが、正しい手順で処理しないと感染者を増やすリスクがある。そのため山下氏は、一人でも多くの従業員が正しい吐しゃ物対応ができるよう、「吐しゃ物対応研修」を開くなど啓蒙活動を行っている。
この活動が評判を呼び、現在は館内のホテルからも研修の依頼を受け、ホテル従業員に対しても「吐しゃ物対応研修」を行うようになった。お客様の安心安全を守るため、山下氏がパイプ役となり館内の連携を強めている。

吐しゃ物対応研修で講師を務める山下氏

従業員入口にある看板

Episode.2信頼する

プロ意識を持って仕事に取り組む姿勢が「経験」を育てる

山下氏は、「自分自身に幸福感がないと一緒に働くチームの雰囲気を悪くしてしまう。だから、いつも明るく元気でいるように心掛けている。そうする事により、スタッフが少しでも楽しく快適に働けるようになれば。」と清掃チームへの想いを語る。
その想いは日々のコミュニケーションに表れている。清掃スタッフ一人ひとりに労いの言葉を掛けたり、時には冗談を交えて自身の経験を語るなど、日頃から声かけを行っている。
また、現場スタッフへの指導は、実際に作業を行ってみせて作業方法を教える。例えば、スタッフが機材作業に悩んだ時、手本を示し最後まで見届ける事で安心感を与え作業を行わせる。このように問題を一緒に解決する事でスタッフとの信頼関係を構築している。

朝礼時に清掃マナーを唱和している

問題解決のためスタッフで意見を出し合う

from Staff職場スタッフから

頼もしい上司

山下さんはスタッフの個性を尊重して仕事を任せてくれ、困った事があったら相談に乗ってくれます。お客様との交渉の場でも、業務上引けないところは相手を不快にさせずに伝えてくれるので、清掃技術だけでなくコミュニケーションの場でも山下さんから多くを学んでいます。

山下さんからのワンポイントアドバイス

部屋を綺麗に魅せるコツ
入室時に最初に目に入る場所から清掃を始め、空間を広くするつもりで行うと部屋全体が綺麗に見える。また、テーブルの上に物を置かない事も効果的。

洗面所などの水周りを綺麗に見せるコツ
ガラスやステンレス等の光り物を綺麗に磨く事で全体が綺麗に見える。石鹸カス等の水垢は、お酢を希釈した物を霧吹き等で吹き掛けて、布で拭き取ると綺麗に取れる。 洗面所のアルカリ性汚れはお酢、キッチンの油汚れには重曹が有効。

部屋を綺麗に魅せるコツ

洗面所などの水周りを綺麗に見せるコツ

(2016年2月25日時点)